お役立ち情報

営業成果を高める「守り」の営業

  • 業種 介護福祉施設
  • 種別 レポート

1件の顧客の重みを理解する(前編)

  • 介護施設における稼働率向上実務のポイントシリーズ。
  • 問い合わせのあった1件を大切に扱い、成約に結びつけようと取り組む営業活動の重要性について学ぶ。

1件の契約を得られることの重要性が理解されているか

営業活動と言えば、思い浮かぶのは外回りに時間を費やす、渉外活動主体の取り組みのことだろう。

しかし、実際に営業活動で成果を上げている事業所では、内向きの活動、すなわち職員への周知、見学・体験利用対応、クロージング、法人内連携などに力を入れているというところが多い。そして、その管理者から口を揃えたように聞かれるのが、1 件 1 件の問合せ顧客を大切にして丁寧に対応することの重要性である。そこには営業活動で大きな成果を上げるための重要なコツが潜んでいると言っても過言ではないのかも知れない。

営業活動において 1 件 1 件のお客様を大切にするということは、問い合わせがきてから成約まで(もしくは失注まで)を丁寧に対応し、気概としては石にかじりついてでも成約をいただこうという強い気持ちで取り組むことである。

このように伝えると、契約件数主義であるとか、現場置き去りなどという印象が先行する方も多いようだが、本質は決してそうではない。

そもそも介護サービスにおいて問合せを成約に結びつけるためには、その利用者の生活上のニーズ(目標)の達成ができることを、自信をもって伝えられなければならない。つまり、相手のニーズをトコトンまで聞き、理解し、その解決手段が自事業所にあって初めて成り立つことであり、介護サービスの基礎を大切にしている事業所でなければこのような提案はできない。

また逆に、1 件の問合わせ案件の成約率を上げられる事業所とは、それだけ目標達成に対する営業活動件数を少なくできるので、介護サービスに時間を割くことができ、必然的に介護の質が高い事業所となり得る。

つまり、1 件の顧客対応を大切にするのと現場の理想を追うのとを並行させることには、何らの矛盾も生じさせないのである。

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1件の顧客の重要性にこだわった「守り」の営業手法とは

では、具体的にはどのようなことに取り組むべきか。

営業手法において、積極的に外回りを行って問合わせ件数を増やそうとする取り組みを「攻め」の営業とするのであれば、問合わせのあった案件を大切に扱い、1%でも成約の可能性を高めるために事業所の側で行う取り組みは「守り」の営業と表現される。

「攻め」の営業が管理者や相談員、すなわち営業担当者の仕事であるならば、「守り」の営業は介護や看護も含めた職員全員の仕事である。

つまり、営業力を強化し稼働率を高めようとする取り組みとは、事業所一丸となり全員で取り組むことで成り立つ。

「営業は相談員の仕事でしょ、私たちには関係ない」という姿勢が現場にあるのか、私たちの良いサービスが地域の困っている方に広まってほしいという姿勢なのかで、営業成果は全く異なったものになるということである。

つまり、営業成果を高める「守り」の営業を行うということは、いかにして現場職員の理解を深め、巻き込むことができるかどうかにかかっていると言えるのだ。

現場職員を営業に巻き込んでいくことは容易ではないが、やるべきことは押さえておく必要がある。

まずは内部への情報発信を怠らないこと。よく、営業は内側からと言われるが、営業資料を作ったにせよ、伝えるべきことをまとめたにせよ、まずは事業所内の職員に伝える必要がある。

そして、事務所と現場の相互理解を深める工夫をする。営業会議などを開催し、相談員と現場職員の双方を出席させたうえで、お互いの苦労などを話す機会を持つなどが良い。

事務所と現場は、互いの理解、苦労を知らないがゆえに、対立したり反発することが起きがちである。お互いの協力体制を築くことがよい「守り」の営業の第一歩となる。

次回は、クロージング効果を高めるための案件管理方法について考察する。成約に至るまでの取りこぼしをなくし、機会を最大限に活かすために必要な管理方法を学ぶ

レポートの執筆者

沼田 潤(ぬまた じゅん)
株式会社 日本経営 介護福祉コンサルタント

株式会社の運営する介護付き有料老人ホームにおいて介護職員から施設長までを経験後、北京に駐在し海外事業にも従事。2015年に日本経営に入社、主に介護施設における稼働率向上支援、介護サービスレベルの底上げ支援などを担当する。介護福祉士。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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